スタジオ地図 細田守監督の新作『竜とそばかすの姫』見てきた。事前情報入れず見に行った。
前半はU(仮想現実)の紹介から竜と出会うまで
中盤は竜の正体は?から判明するまで
後半はそれ以降とすると
主題歌:100
現実パート前半:80
仮想現実パート前半:80
現実パート中盤:60
仮想現実パート中盤:50
現実パート後半:30
仮想現実パート:20
現実パートEDまで:10
見事な尻下がりという所感
以下ネタバレ多数
OP
主題歌はめちゃくちゃかっこよくてよかった。ただ主題歌『U』はこのOPでしか流れない。あとはラブソングとか、そのへん。めちゃくちゃ悲しい。
現実パート前半
ド田舎の空気感や語らないながらも伝わる家庭環境のギスギス感、学校での立ち位置や他キャラの人間関係が見えて今後の展開にワクワクした。
親友のヒロちゃんがドチャクソ口が悪くてかわいい。豪邸のクソデカモニターやらなんやらの描写もSW感あってよかった。
仮想現実パート前半
一番最初の"U"の紹介も含むがまさにSWのOZって感じがしてよかった。ただSWのOZみたいに全てのライフラインを統括するサイトではなくて自己表現のアプリみたいなものらしいので見た目は良くてもどんな施設があるのかとか、そういうのは見えてこなかった。(一応ドームやら闘技場やらなんやらはあるらしいが、それしか出てこない)
この世の知性を司る5人の賢者「Voices」によって創造された究極の仮想世界。全世界で登録アカウント50億人を突破してなお拡大を続ける史上最大のインターネット空間。ボディシェアリング機能を有しており、<U>の世界ではその人の隠された能力を無理やり引っ張り出すことができる
5人の賢者は一切出てこない。
相変わらずクジラがマザーコンピューターというか、象徴的立ち位置にいるのは細田作品という感じがしてよかった。
一夜にして超バズってフォロワーウン千万みたいな展開は速度感あるけどいつの間にヒロちゃんがプロデュースしてやることになったんだみたいなところかなり時間すっ飛ばしててウーンという感じだった。
過去のトラウマから歌が歌えなくなる→仮想現実でなら歌える
の提示
仮想現実パート中盤
竜の乱入からその正体を探すまでのパート
突如攻撃されながらライブ会場に入ってくる竜。『竜とは誰なのか』を探るのが主題になっているけれど、探す理由が”竜はUにとって悪質なユーザーだから本人晒し上げて裁く”とかいうメチャクチャな理由で泣いちまった。もちろん細田作品見てる人のアタマに浮かぶのはSWのラブマシーンみたいな兵器AIが暴走して放置するとヤバイことが起きるから探さなくちゃならない。みたいな展開がくるんやろな~みたいなのを漠然と思うが、ただただ竜は闘技場での振る舞いが悪質だから正義マンに目をつけられてるってだけでペラかった。
主人公の鈴もなぜそこで竜に惹かれるのかもイマイチわからないまま竜を探し出してまぁという感じだった。
痣が増えているという話だがどう見てもマントの模様。
現実パート中編
恋愛模様にも触れられていくパート
イケメン幼馴染の鈴への対応はまあ恋愛というよりは母性保護欲に振り切ってんなという印象はあったけど何がしたいねんこいつもう少し押せや、という気持ちが強い。
また手を握った握られたの周囲の妬みが挟まってくるけれど、一旦仮想現実挟んでからだったから妙にテンポが悪かった。あと秒で解消して--平定--するんだけどここ必要か!?ポイント
合唱団に所属しているのが分かるところで「あんたの母も幸せになってほしいと願っている」「幸せってなに?」「それはわからない」のくだりはまあ幸福論には結論ないよね、みたいな話だけどここも必要か!?ポイント
竜特定パート
前半で「ベルが有名人だと思って特定してる奴らマジ笑える」といっていたヒロちゃんが有名所の○○竜説のある人にコンタクト取りまくっててヒロちゃんも踊らされてる側やん・・・ってなってしまった。
現実パート後半
奇跡的なご都合主義かなんかで特定完了した竜の正体は、鈴と同じ母親を無くしてDVパパに虐待されとる兄弟だったというオチ。イケメン幼馴染が心に傷を持っていて!?とか鈴パパが!?とか実はマジでAIが!?とかそういう展開を想像してたら全く予想だにしないキャラが突然現れて実はこの子竜でした!って言われてもまあ・・・って感じだった。
でもまあなんやかんやあって助けたい!という気持ちが芽生えて(ここ鈴の母の追体験)助けに行きたいと思うが兄の信用を得られずどうすれば・・・ってなった結果が「顔を晒して歌うこと」っていう展開なのはまぁ・・・
仮想現実パート後半
正義マンの行動が全部痛すぎて辛かった。結局あの正義マンなんだったんだろうな。
DVパパか?と思わせるような感じもあったけどわからん。ただただ白タイツ正義マンだった。「アバター剥がされても潰れないのか!?」みたいな発言があったけど”U”の世界ではアバターのペルソナがないと心潰れるヤベーやつだけが5億人いるってことかよってなった。そうでなければ『鈴がベルのペルソナを被っていないと人前で歌えない人間』であることを知ってる人になるわけだけど?
現実パート最終盤
ライブ成功!通話もつながった瞬間にみんなやったー!幼馴染とギュー! の展開でもうどうにでもなれ感あった。なにもやったー!じゃない。終わってない。まだ何も。
住所聞き出せないけど僅かな音と窓の外のビルの情報でピンポイント特定3分で完了はなかなかなスピード感で恐怖を感じた。
電車乗り継ぎ翌日の朝昼に現着からの何故か外にいた兄弟に出会いハグしてめでたしめでたしの展開はもうどうにでもなれ感あった。
エンディング入る前に「みんなで歌おうか!」「アレしかないでしょ!」みたいな会話から何歌うんだとか思ったら『歌よ』流れて、みんなで歌う歌かこれ・・・みたいな衝撃を受けた。劇中歌は全く存在していないからしょうがない。
その他
アバターは軒並みかわいいデザインでSWより進化しててよかった。アイコンとしての役割じゃなくてマジの自分への投影なんだなと思わせるデザインだけど、悪口言ってるやつらや正義マンたちはマジでそのアバターで良かったのか?と思うくらい醜悪。
悪は悪というのは現実世界でも仮想世界でも偽れないという非情な世界なのがわかる。
歌パート全体でミュージカル調に近く、まあアナ雪やら美女と野獣がモチーフにあるのは誰の目にもそう映るような城の探索描写やらダンスシーンやらが長かった。
終わり方が弱すぎた。DVパパを圧で退けたあとハグして終わりはマジでなんなんだマジで。
「あなたにだけ教えます。秘密ですよ」のAIちゃんは可愛かった。あのAIなんだったんだろうな。竜をご主人さま~って言うのはかわいいけどめちゃくちゃ耳につくのが良くなかった。それも含めてモブのチクチク言葉がめちゃくちゃ耳につく。
DVパパが現実世界での、正義マンが仮想現実での悪役なんだけれど両方とも正義感やら自分勝手な理由で、しかも対象は両方とも竜(兄弟)だけってのが悲しくなる。
というかそもそも竜(兄)は何がしたかったんや。弟のヒーローの竜を演じるためにUの闘技場で前人未到の連勝記録を叩き出すのはまあ分かるが明らかに仕様外の事象は流石に咎められるところだと思う。PKされたら垢が凍結されるは明らかにチーターのそれ。
まとめ
母親を亡くして歌を失ってしまった主人公の復活劇として観ると立ち直りの描写があまりにも弱く
青春学園モノとしてみると恋愛パートがあまりにも弱く少なく
謎の竜との出会いと歌が紡ぐ物語としてみると竜の存在があまりにもペラく
親の愛をテーマしているとすると終わり方がかなり後味が悪く
次世代インターネットの表現の場を描いた映画だとするとあまりにも現実のインターネットと変わらずチクチクが多く
バトルアクションモノとして見ても正義マンがあまりにも痛々しい
そんな映画でした。
青春映画は時かけとSW!親の愛はおおみこども!以上!